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水道・設備の職人は誰に向いているか|毎日その場で問われること

水道・設備の職人は誰に向いているか|毎日その場で問われることのアイキャッチ
この記事でわかること
  • 手先の器用さより先に問われるものが、別にあること
  • 開けた先が想定と違ったとき、誰に相談できるのか
  • 知らない家に上がる時間が、一日の中でどれだけあるか

手先はそんなに器用じゃない。それでもやっていける仕事なんだろうか

向いているかどうかを、手先の器用さで測ろうとする人がいます。この仕事では、そこはあまり効きません。

管を切って締める作業は、繰り返せば誰の手でも形になります。難しいのは、その前後のほうです。

床板を開けて想定外の管が見えたら、手を止めます。上で待つ家の人に、予定していた修理を変える理由をその場で話します。

ここでは、この仕事の中で毎日問われることを五つ並べます。どれも、始める前に一度は考えておける部分です。

答えを決める記事ではありません。読み終わったときに、自分がどこで引っかかるかだけ分かれば十分です。

水道の配管と接続箇所
目次

開けた先が違っていたとき、その場で決められるかどうか

古い家では、図面と中身が合いません。途中から違う材質の管につながれていたり、後から誰かが足した経路が残っていたりします。前に触った職人の癖が、そのまま残っています。

見えるのは、床板を外してからです。そのときには、水はもう止めてあり、相手は横で待っています。作業を中断して考える時間が、そのまま相手の待ち時間になります。

ここで選べる道は、たいてい二つか三つです。今日できる形で収めるか、部材を取り寄せて明日にするか、範囲を広げるか。

開けた床の下に想定外の管があれば、その場で作業を止めて住んでいる人に説明します。水を使えない家で待つ人の前で、次の手を選びます。

勤めているときは、この判断が上の人のところにありました。外へ出ると、同じ場面で、玄関の土間に立ったまま答えることになります。

即答が得意である必要はありません。ただ、決めるまでの数分を、人に見られたまま過ごすことにはなります。

選び方には、その人の癖が出ます。同じ床下を見ても、今日で終わらせたい人と、部材を替えてから戻りたい人に分かれます。

どちらを選んでも、責任は同じ場所に残ります。数か月後に同じ家から電話が鳴ったとき、その日の判断が答え合わせになります。

水回りの設備と作業場所

知らない家に上がって、家族の前で作業できるかどうか

この仕事の作業場は、誰かの家の中です。台所、洗面、浴室、トイレ。どれも、生活のいちばん近いところにあります。会社の現場のように、囲われた場所ではありません。

作業中も、住んでいる人はそこにいます。背中側で家事が続いていたり、子どもが様子を見に来たりします。

靴を脱いで上がり、床に養生を敷き、荷物を置く場所を借ります。全部、相手の家の中のことです。

作業に集中するあまり、声をかけずに水を止めてしまうと、あとの空気が変わります。手が止まるより、そちらのほうが長く残ります。

人と話すのが得意でなくても構いません。ただ、今から何をするのか、どれくらい止まるのかだけは、毎回自分の口で伝えることになります。

一人で黙々と作業したい人にとって、この時間が重く感じられる日があります。

荷物の置き場も、その都度お願いします。玄関に工具を並べ、廊下に管を通す形になるので、通り道を塞ぐことになります。

作業の音も響きます。切る音も、締める音も、集合住宅なら隣に届きます。時間帯を先に相談しておく家もあります。

水道の配管と接続箇所

汚れることと、においを引き受けられるかどうか

排水の詰まりを抜く日は、袖口に汚れが入り、車へ戻ってもにおいが残ります。管の口を開ける前に受け皿を置き、飛び散る場所を空けます。

その日の作業が一軒で終わるとは限りません。汚れたまま次の家に上がるわけにいかないので、車で着替えることになります。

手を洗う場所も、その家を借ります。直したばかりの蛇口で洗わせてもらう日もあります。水が出るところまで見てもらえる時間でもあります。

排水の詰まりを引き受けるかは、体と気持ちの反応が分かれるところです。浴室の床へ膝をつき、管の口を開ける場面を思い浮かべてみてください。

詰まりを断ると、夜に急ぐ電話へ応じる機会も減ります。その代わり、浴室の器具を替える予定仕事をどう集めるかが残ります。

汚れが平気かどうかより、その汚れと引き換えに何を得ているかを自分で言えるかどうかが、続くかどうかを分けています。

夏場は、においが強く出ます。同じ作業でも、気温が高い日ほど、車に戻ったあとまで付いてきます。

その状態で、次の家の玄関で靴を脱ぎます。相手にとっては、今日はじめて会う職人です。

水道の配管と接続箇所

直らなかったと、その日のうちに言えるかどうか

呼ばれて行って、原因が見つからない日があります。壁の中の別の場所から染みていて、水回りの側では止められない形です。

そのとき、無理に触って直ったことにするか、分からなかったと言って帰るかが分かれます。

触って帰った場合、その日は収まったように見えます。出てくるのは数日あとで、今度は最初より広がっています。

言って帰るほうが、その場は気まずくなります。待っていた相手に、何も終わっていない状態を渡すことになるからです。

そのときに渡せるのは、今どこまで確かめたかと、次に誰へ当たればよいかです。屋根や外壁の側なのか、上の階の設備なのか。見た範囲を言葉にして残します。

この場面で口をつぐめるかどうかは、性格の問題に見えて、実際には数年後の電話の数に出てきます。正直に帰った家のほうが、次に鳴ります。

この場面で無理に触る人が多いのは、何もせずに帰るのが怖いからです。来てもらった相手に、手ぶらの時間を渡すことになります。

ただ、触った結果が出るのは自分がいない日です。壁の中で広がった水は、次に開けたときに全部見えます。

水回りの設備と作業場所

鳴った電話に、自分の生活を割り込ませられるかどうか

水は、こちらの都合に合わせて止まりません。夕食の途中でも、休みの朝でも、蛇口の下で水が滴る音を聞けば電話が鳴ります。

出るかどうかは自分で決められます。決められるからこそ、毎回決めることになります。

出ないと決めた人は、その時間を守れます。その代わり、鳴らしてきた相手は次に別の職人へかけます。そして、その家は次からそちらへかけるようになります。

出ると決めた人は仕事が増えます。その代わり、家族との時間が予定どおりに終わらない日ができます。

どちらが正しいということはありません。ただ、この判断を毎週のようにする仕事だということは、先に知っておける部分です。

画面に知らない番号が出たときに、体が先に動くか、一度ため息が出るか。そこに自分の答えが出ています。どちらであっても、間違いではありません。

決め方を持っていない人は、鳴るたびに迷います。迷う時間そのものが、休みの日を細かく削っていきます。

家族がいる人は、この線を家の中でも一度話すことになります。夜に出る仕事だと、自分だけでは決められない部分が残るからです。

まとめ

この仕事で毎日問われるのは、手の器用さではありません。開けた先で決めること、人の家で口を開くこと、汚れを引き受けること。

そして、直らなかったと言えること、鳴った電話に生活を割り込ませるかを決めること。どれも作業の外側にあります。

五つ全部が得意な人は、たぶんいません。どれか一つか二つで引っかかりながら、続けている人のほうが多くなります。

だから、向き不向きを決めるとすれば、引っかかる場所がどこかのほうです。人と話す部分なのか、汚れる部分なのか、決める部分なのか。

ここから先は、外からは見えません。床下に体を入れて、想定と違う配管を目の前にした数分が、自分にとってどんな時間だったか。それは潜った本人の中にしか残らないものです。

人見知りでも続けられますか

続けている人はいます。話が上手である必要はなく、伝えることが決まっているからです。

今から何をするか、どれくらい水が止まるか、いくらになりそうか。この三つを言えれば、あとは作業に戻れます。

体力に自信がないと難しいですか

洗面台の下へ入るときは、肩を斜めにして手を伸ばします。膝をついたまま継手へ届く姿勢を取れるかが問われます。

重い物は、応援を頼める相手がいれば分けられます。狭さのほうは、代わってもらえません。

急な呼び出しを受けない働き方もできますか

できます。工事の予定だけで組んでいる人もいます。

その場合は、工事の切れ目に空く週が出てきます。時間を守る代わりに、その谷を自分で埋める形になります。

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