- 人が来る前の朝に、部屋とタオルと自分の手を先に温めておくこと
- 一人ぶんの枠が、横になってもらう前から動き出していること
- 予約の入っていない昼の二時間が、休みにはならない理由
- 最後の人を見送ってから、部屋が元に戻るまでにやっていること
「一人に一時間かかるのは分かります。ただ、その間の空いた時間に何をしているのかが想像できません」
予約が三人入っている日でも、実際に押している時間を足すと、三時間ほどにしかなりません。
では残りの時間はどこへ行っているのか。外から見ていると、そこがいちばん分かりにくいところです。
一日の中身は、押している時間と、部屋を整えている時間と、誰も来ない時間の三つに分かれています。
ここでは、自宅の一室で受けている人の平日を、鍵を開けるより前の時間から順に追います。
曜日によって形が変わる部分は、最後にひとつだけ触れます。

朝は、人より先に部屋を温めるほうへ時間を使います
朝いちばんにやるのは、暖房を入れて部屋の温度を上げることです。人が来る前に、部屋のほうを先に仕上げます。
うつ伏せで動かずにいる人は、こちらが思うより早く体が冷えます。冷えた体は、同じ力加減で押しても浅いところで止まります。
次にタオルを数えます。昨夜のうちに乾いたか、今日の人数分そろっているかを確かめます。
枚数は多めに用意します。途中で汗をかいた人が出ると、一人で二枚も三枚も使うことになるからです。
足りないときは、この時間に洗濯機を回します。午前の施術をしている間に乾かすためです。
ベッドにシーツを掛け、枕の位置を直し、顔を入れる穴の高さを自分の背に合わせます。
部屋の明かりも落としておきます。真上からの光は、うつ伏せから顔を上げたときにまぶしく感じます。
オイルの残りと、使い捨ての紙の残りも見ておきます。途中で切れると、押している手を止めることになります。
最後に自分の手を温めます。冷たい手で触ると、相手の肩がその瞬間に上がります。
予約の連絡に返事を書くのも、この時間のうちです。午前に入ってしまうと、次に手が空くのは昼です。
自宅の一室で受けている場合、朝の支度は生活のほうと重なります。洗濯機の音が施術中に響かない位置にあるかどうかで、回す時間が決まります。
ここまでで小一時間が過ぎています。まだ誰も部屋に来ていませんが、一日はもう動いています。

一日ぜんたいは、この順で動いていきます
平日の並びを、時間帯ごとに追ってみます。人数が増えても減っても、この順番自体はあまり変わりません。
暖房を入れ、シーツを掛け、タオルの枚数を数えます。乾いていない分があれば、先に洗濯機を回します。
自分の手を温めるところまでが支度です。ここを飛ばすと、一人目の肩が最初の数分ずっと上がったままになります。
横になってもらう前に、前回から何が変わったかを聞きます。眠れているか、どの姿勢が長く続いているか。
聞きながら、立っている状態で肩の高さと骨盤の傾きを見ます。触る順番は、ここで決まります。
午前と夕方の間は、たいてい空きます。ここで乾いたタオルをたたみ、部屋の空気を入れ替えます。
外に出るには短く、休むには落ち着かない長さです。結局、体を動かして埋めることになります。
この時間に来る人は、座りっぱなしだった体で入ってきます。肩こりの訴えが集まるのもここです。
枠が続くので、一人ぶんの終わりと次の始まりの間は、シーツを替える数分しかありません。
最後の人を見送ってから、使ったタオルをまとめて洗います。乾燥にかかる時間の分だけ、帰る時刻が後ろへずれます。
その間に、今日触った体のことを短く書き残します。次に会うのは何週間も先なので、記憶では持ちません。
この並びのうち、料金をいただいているのは午前と夕方の枠だけです。残りは全部、自分の時間から出しています。
人数が二人の日も、支度と片付けは同じだけかかります。減るのは押している時間のほうだけです。
枠と枠の間を詰めすぎた日は、この順番が崩れます。崩れると、片付けが全部夜へ寄ります。

予約と予約のあいだに空いた時間に、何をしているか
昼の二時間は、予約表の上では空白です。実際には、ほとんど座っていません。
まず乾いたタオルをたたみます。枚数が多いので、たたみ終わるころには次の枠が近づいています。
やり残していた予約表の直しも、ここで片付けます。手書きの控えと画面の予定がずれている日があります。
ベッドの周りを拭き、床に落ちた髪を取り、窓を開けてオイルのにおいを抜きます。
においは思っているより残ります。次の人が部屋へ入った瞬間の顔で、抜け切っていないことが分かります。
洗ったシーツを干し、乾いた分を取り込み、次に使う順に積み直します。これだけで三十分ほど消えます。
自分の体を戻す時間でもあります。午前に押した分で、親指の付け根と手首が固くなっています。
手を開いたり閉じたりしながら、夕方の枠に間に合わせます。ここで戻し切れないと、最後の一人で深さが出ません。
連絡の返事も、この時間にまとめます。施術中は手が使えないので、返せるのは昼か夜だけです。
空いた昼に、思いつきで買い物へ出ないでください。戻る時間が読めず、夕方の一人目を待たせることになります。
この二時間が毎日あることを、始める前に知っている人は多くありません。予約表では見えない部分です。
外の音が静かな時間帯なので、翌週の予約をここで組み直すこともあります。

最後の一人を見送ってからも、手はしばらく止まりません
夜の枠が終わって玄関を閉めたあと、部屋にはまだ使った分がそのまま残っています。
シーツをはがし、タオルをまとめ、洗濯機に入れます。乾燥が終わるまでは帰れません。
その間にベッドを元の位置へ戻します。日中は動かして使っているので、毎晩少しずつずれています。
床にオイルが落ちていることもあります。踏むと滑るので、その場で拭いておきます。
書き残すのは、押した場所と、相手が痛いと言った場所です。姿勢の癖も、気づいたときに足します。
翌日に出張が入っていれば、持ち出す折りたたみの台とタオルを、玄関の横にまとめて置いておきます。
次に会うのが何週間も先になる人がいるので、書いていないと前回の続きから始められません。
翌日の予約を見て、朝に何人分のタオルが要るかを計算します。ここまでで、その日がやっと終わります。
体で残っているのは腕ではなく、足の裏と、押すときに踏ん張っていた側の腰です。
手を洗って、部屋の明かりを落とします。ここでようやく、押していた側の体が下りてきます。
まとめ
朝は人を迎える支度ではなく、部屋とタオルと自分の手を温めるところに時間が消えます。
一人ぶんの枠は、横になってもらう前の聞き取りから動き出していて、押している時間はその一部です。
昼の二時間は予約表では空白ですが、たたみ、拭き、においを抜き、自分の手を戻す時間に使われます。
夜は乾燥が終わるまで帰れません。書き残す作業まで入れて、ようやく一日が閉じます。
ここで並べたのは、枠が順当に埋まった平日です。終わったあとに振り返ると、その日いちばん長く感じていたのは、押していた三時間ではなく、誰も来なかった午後のほうでした。
- 一日に何人まで受けられますか
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枠の数だけなら、朝から夜まで並べることはできます。ただし押す深さは、後ろの枠になるほど出にくくなります。
続けられる人数は、手首と腰がどこで止まるかで決まります。ここは体格よりも、押し方の癖のほうが効いてきます。
- 予約が入っていない日は休みになりますか
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休みにはなりません。タオルを洗い、部屋を掃除し、連絡を返すところは同じだけ残ります。
むしろ人が来ない日のほうが、片付けの手が止まらないという声はよく出ます。
- 曜日によって、一日の形は変わりますか
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変わります。平日は昼に谷ができますが、休みの日は朝から夜まで途切れないことがあります。
途切れない日は昼の二時間が無いので、タオルをたたむ時間も、手を戻す時間も夜へ回ります。帰る時刻はその分だけ遅くなります。
