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整体師・セラピストは誰に向いているか|毎日その場で問われること

整体師・セラピストは誰に向いているか|毎日その場で問われることのアイキャッチ
この記事でわかること
  • 相手が言わないことを、手のほうから探しにいけるかどうか
  • 効いたかどうかが、その場では返ってこない仕事だということ
  • 自分の体を、毎日使う道具として扱えるかどうか

「人に触るのは好きなんですが、それだけで向いていると言っていいのかが分かりません」

一時間ずっと、返事のほとんど返ってこない背中に向かって、手を動かし続けられますか。

向いているかどうかを考えるとき、多くの人は性格のほうから入ります。話すのが好きか、細かいことに気づけるか。

ただ、施術の一時間の中で本当に問われるのは、もう少し手前にあることです。

ここでは、その場で繰り返し起きる場面を並べます。読みながら、自分ならどうするかを置いてみてください。

答えは書きません。分かれ目になる場所だけを、はっきりさせておきます。

施術用ベッドと室内
目次

相手が言わないことを、手のほうから探しにいけるか

横になった人が、自分の体のことを正確に説明できることはほとんどありません。

肩が痛いと言われても、触ってみると固いのは背中の下のほうだった、ということが起こります。

言われた場所だけを押していれば、その時間は静かに過ぎます。相手も、そういうものだと思って帰ります。

探しにいく人は、言われた場所の周りを先に触ります。左右を比べ、押したときに息が止まる場所を覚えます

この違いは、その日には表に出ません。次に来てもらったときに、少しずつ差が開いていきます。

探すのは、好奇心に近い部分です。なぜここが固いのかを、毎回考えられるかどうか。

考えるのが面倒に感じる人は、決まった順番を毎回なぞる形になります。そこで止まる人は少なくありません。

相手はうつ伏せで顔が見えません。表情で確かめられないぶん、探す材料は手と、返ってくる短い返事だけになります。

左右で違いが出るのは、その人の生活の癖が体に残っているからです。荷物をどちら側で持つか、どちらの足に体重を乗せて立っているか。

そこまで見に行くと、押す場所が毎回変わります。前回と同じ手順をなぞるだけでは終わらなくなります。

施術用ベッドと室内

強く押してほしいと言われた日に、手を緩められるか

もっと強くしてください、と言われる場面が必ず来ます。

言われたとおりに体重を乗せると、その場では喜ばれます。強いほうが効いた気がする人は多くいます。

ただ、その日の体が強い力に耐えられる状態かどうかは、押している側にしか分かりません。

ここで力加減を変えないでいられるかが、毎回問われます。喜ばれる方へ流れるのは、思っているより簡単です。

強さで満足してもらう形を続けないでください。次に来たときは、前より強くしないと同じように感じてもらえなくなります。

そして強くし続けた分は、こちらの手首と親指に返ってきます。自分の体のほうが先に止まります。

緩めるなら、理由を言葉にします。黙って弱くすると、手を抜かれたように受け取られます。

説明して、それでも強くしてほしいと言われたとき、どうするか。ここは人によってはっきり分かれます。

押す深さは、相手の筋肉が緩んでくる速さに合わせて変えます。同じ人でも、季節や寝不足で入り方が違います。

強さを一定にしてほしいと言われることもあります。そのときに、なぜ今日は浅くしているのかを説明できるか。

説明せずに押し切ると、その場は収まります。収まったぶんは、こちらの親指がまとめて引き受けます。

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自分では扱えないと思ったときに、口に出せるか

触っていて、これは自分の手の範囲を越えている、と感じる相手が来ます。

そのとき、そのまま施術を続けるか、いったん止めて別のところを勧めるかを、その場で決めます。

止めると、その一回の代金は入りません。予約表が空いている時期なら、なおさら言い出しにくくなります。

受けてよい範囲は、働く形や場所によって線の位置が動きます。自分の感覚だけで決めず、学んだ場所や入っている集まりにも一度尋ねておいてください。

止めた経験のある人は、回す先を先に決めています。整形外科の名前を控えておいて、その場で渡します。

決めていないと、迷っている数分がそのまま沈黙になります。うつ伏せの相手には、その沈黙の理由が分かりません。

言えるかどうかは、性格というより、先に決めてあるかどうかで変わります。

止めると決めた日は、後味が悪く残ります。せっかく来てくれた人を、何もせずに帰すことになるからです。

それでも止めた人は、そのあと同じ場面で迷わなくなります。一度口に出せると、次からは言葉の形が決まります。

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効いたかどうかが、その場では返ってこないこと

施術が終わった直後の感想は、あてになりません。施術直後の「軽い」という声だけでは、次の来店で何が変わるかまでは読めません。

本当のところが出るのは、二日後か三日後です。そのころには、相手はもう日常に戻っています。

つまり、自分の手が何をしたのかを知るには、次に来てもらうまで待つしかありません

間隔が空く仕事なので、待つ時間は何週間にもなります。その間、答えは出ないままです。

この宙ぶらりんを、気にせず次の人を受けられる人がいます。逆に、ずっと考え続けてしまう人もいます。

考え続けるほうが丁寧に見えますが、一日に何人も受けていると、そのままでは持ちません。

書いて残して、いったん手を離す。この切り替えができるかどうかが、続く人と続かない人を分けています。

前回の記録を開いて、押した場所と相手の言葉を読み返してから、次の施術に入ります。ここが答え合わせの場です。

合っていた日もあれば、まったく見当違いだった日もあります。どちらも、次に来てもらえたから分かることです。

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自分の体を、毎日使う道具として扱えるか

この仕事では、自分の体がそのまま道具です。管理の仕方も、道具と同じになります。

爪は短く保ちます。少し伸びているだけで、押したときに相手の肌に当たります。

手の乾き方も見ます。冬に手が荒れると、シーツに引っかかって滑りが変わります。

前の日に飲みすぎた翌朝は、体重の乗せ方が甘くなります。相手には分からなくても、自分では分かります。

自分が疲れている日に、いつもと同じ施術を渡せないことを受け入れられるか。ここも毎日問われます。

続けている人は、生活のほうを先に組んでいます。押す日の前の夜に、予定を入れない人もいます。

好きなことを仕事にすると、生活の側が自由になると思われがちです。実際は、逆向きに縛られます。

腰と手首は、いちど痛めると立ち方から作り直すことになります。作り直している間は、同じ深さまで届きません。

だから休みの日に何もしない、という過ごし方を選べるかどうかも、この仕事では判断のうちに入ります。

押す手を守るために、休みの日に重い物を持たない人もいます。仕事の外まで、道具の都合で決まります。

まとめ

問われるのは性格よりも、言われた場所の周りを自分から触りにいけるかどうかです。ここで毎回、渡せるものが変わります。

強くしてほしいと言われた日に手を緩められるか。喜ばれる方へ流れると、次はもっと強くしないと届かなくなります。

扱えないと感じたときに止められるかどうかは、先に行き先を決めてあるかどうかで決まります。

効いたかどうかは、その場では返ってきません。書いて残して手を離せる人と、考え続けてしまう人に分かれます。

同じ場面に立っても、探すのが面白いと感じる人と、毎回考えることに削られる人がいます。分かれるのは腕前ではなく、答えの出ない時間をどう過ごせるかのほうです。そこは、何人か続けて受けてみるまで自分でも分かりません。

人見知りでも続けられますか

施術中はうつ伏せなので、会話は多くありません。話し好きである必要はありません。

ただし触る前に体の様子を聞く時間と、終わってから次の間隔を伝える時間があります。ここだけは黙っていられません。

体力に自信がないと向いていませんか

深さを出しているのは重心の移し方なので、体格そのものは大きな差になりません。台の高さが合っていれば、力はそれほど要りません。

差が出るのは、一日に何人受けても押し方が崩れないかどうかです。ここは体格より、立ち方の癖のほうが大きく出ます。

手先が器用でないと難しいですか

細かい動きよりも、手のひら全体で違いを感じ取れるかのほうが使われます。ここは回数で変わっていく部分です。

早い時期に差が出るのは器用さではなく、同じ人の体を何度も触って、前との違いを覚えていられるかどうかです。

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