MENU

整体師・セラピストという働き方|会社員との違いを整理する

整体師・セラピストという働き方|会社員との違いを整理するのアイキャッチ
この記事でわかること
  • 施術の中身が、腕の力ではなく自分の体重を預ける仕事だという話
  • 相手がうつ伏せのあいだ、こちらの手つきも表情も届いていないこと
  • 一人でやるときに自分の手元へ来るものと、代わりに増える判断

「店で施術を続けてきましたが、一人でやるとなると何がどう変わるのかが、いまひとつ見えません」

一日の終わりに手を洗いながら、今日はこの手で何人分の背中を押したのか、数えたことがあると思います。

雇われて押すのと、自分の名前で押すのとで、どこが入れ替わるのか。外からだと、その線が見えにくいところです。

入れ替わるのは押し方ではありません。押している一時間の前と後ろに、何がくっついてくるかのほうです。

ここでは施術そのものの中身を先に置いて、そのうえで一人になったときに自分の手へ来るものを並べます。

施術室の丸椅子
目次

仕事の中身は、自分の体重を相手の体へ預けることです

施術は腕の力で押すものだと思われがちですが、長く続けている人ほど腕を使いません。自分の体を相手の上へ運んで、その重さを指や肘の一点に落とします。

ですから強さを作っているのは握力ではなく、足をどこに置くかと、腰をどの高さに保つかです。

ベッドの高さが自分の身長に合っていないと、この置き方が崩れます。崩れた分は、その日のうちに腰へ出ます。

体重を使う押し方なら、体の小さい人でも同じ強さが出せます。そのかわり自分の姿勢が崩れた瞬間に、出せる強さも一緒に落ちます。

固まっている筋肉を探すのは指の腹です。押しながら探して、探しながら深さを変えます。この二つは分かれていません。

骨盤の傾きや肩の高さを先に見て、どこから触るかを決めます。見る時間は、横になってもらう前に済ませます。

一日の終わりに残るのは、足の裏と腰のだるさです。腕はむしろ、思っていたほど疲れていません。

押す深さを変えるときも、指の力ではなく、自分の重心をほんの少し前へ送るだけです。肘の角度は変えません。

この動きが体に入るまでは、腕で押してしまいます。腕で押した日は、翌週に肩のほうが先に張ります。

施術用ベッドと室内

うつ伏せの相手からは、こちらが見えていません

施術の大半は、相手がうつ伏せのまま進みます。顔はベッドの穴に入っていて、こちらの手つきも表情も届きません。

だから、次にどこへ触るかを声で先に渡します。肩を触りますと言ってから触る。これを一回ごとに繰り返します。

黙ったまま手を止めないでください。相手には、こちらが考えて止まったのか、何かあって止まったのかが分かりません。

痛みの手前かどうかも、顔色では確かめられません。力加減は、返事と、体のこわばり方から測ることになります。

息の詰まり方でも分かります。強く入りすぎた場所では、相手の呼吸が浅いところで止まります。

タオルの掛け方も仕事のうちです。出ている肌の面積が変わると、相手の力の抜け方がはっきり変わります。

見えていないのはお互いさまです。こちらからも、相手が今どんな顔をしているかは最後まで分かりません。

声のかけ方も、途中で変わります。最初は長く説明しますが、何回か来てもらううちに短くなります。

眠ってしまう人もいます。寝息が聞こえ始めたら、そこから先は声を落として、触る順番だけを守ります。

施術用ベッドと室内

力加減を決める人が、自分ひとりになります

店にいたころは、迷ったときに奥へ声をかければ済みました。強すぎないか、この人にこの姿勢を取ってもらってよいか。

一人になると、その確認先が同じ部屋からいなくなります。ベッドの横で、その場で決めることになります。

決めたことが合っていたかどうかは、たいてい次に来てもらった日に分かります

通う間隔が空く仕事なので、答え合わせまでの距離が長くなります。忘れたころに返ってきます。

自分の手には合わないと判断して、受けないと決めるのも同じ側の仕事です。

どこまでを自分が受け、どこから先を人へ回すのか。線の引き方は地域によって扱いが違います。市や区の窓口へ一度、自分の名前で問い合わせて決めておいてください。

扱える範囲を曖昧にしたまま相手を台へ案内すると、横になってから施術を止める場面が生まれます。

同じ強さでも、その日の相手の体調で入り方が変わります。前の週に効いた押し方が、今週は強すぎることがあります。

だから毎回、最初の数分は探る時間に使います。ここを飛ばすと、先週の記憶のまま押してしまいます。

迷ったまま押した回は、自分でも分かります。手が浅いところで止まって、そのまま時間だけが過ぎていきます。

施術用ベッドと室内

押している時間の外側に、仕事のほうが広がります

一人でやると、予約の返事も、部屋の掃除も、タオルの洗濯も、全部が自分の手に来ます。

施術そのものが一時間でも、その前後に三十分ほどが付いてきます。着替えを待ち、体の様子を聞き、終わってから水を出します。

この前後の時間は、料金表のどこにも出てきません。それでも毎回、同じだけかかります。

予約が一件も入らない日にも、洗う物は出ます。前日の分を残すと、翌朝そのまま足りません。

シーツを替え、ベッドの位置を戻し、オイルの減りを見る。ここまでで一人分が終わります。

会社員だったころとの違いがいちばん出るのは、この外側です。押していない時間が、そのまま自分の時間から引かれます

店にいたときは、この部分を誰かが先に片付けてくれていました。気づくのは、一人になってからです。

洗濯機を回すのは、たいてい最後の人を見送ったあとです。回している間に、翌日の予約の返事を書きます。

部屋の換気も欠かせません。オイルのにおいは、思っているより長く残ります。次の人が入ってきたときに気づきます。

施術用ベッドと室内

手元に来るのは、部屋と、予約表と、受けない判断です

一人でやると決めたときに自分のものになるのは、大きく三つです。

一つ目は場所です。ベッドの向き、部屋の明るさ、置く音の大きさまで自分で決められます。

冬に部屋を先に温めておくか、夏に風を直接当てないか。こうした細かいところが、そのまま施術の質になります。

二つ目は予約表です。何時から受けるか、一人と一人の間を何分空けるかを、自分の体に合わせて組めます。

三つ目は、受けないと決める側の判断です。合わないと感じた相手を、無理に引き受けなくてよくなります。

そのかわり、埋まらない曜日も自分のものです。誰かが穴を埋めてくれることはありません。

店に立っていたころは、空いた枠に別の担当が入っていました。一人になると、空いた枠は空いたまま残ります。

部屋の温度も自分の判断になります。うつ伏せで動かない人は、想像よりずっと早く体が冷えます。

予約表の組み方も、そのまま自分の体に返ってきます。連続で入れた日は、三人目から押す深さが浅くなります。

休みを自分で決められるのも、この三つと同じ側にあります。決めた休みの分だけ、その月は誰も押しません。

まとめ

施術で使っているのは腕の力よりも、自分の体重と、足の置き方です。ベッドの高さが合わないと、そこから崩れます。

相手はうつ伏せで、こちらの手も顔も見えていません。次にどこへ触るかは、毎回声にして渡すことになります。

一人になると、力加減も、受けるかどうかも、ベッドの横で自分が決めます。確認できる相手は同じ部屋にいません。

働き方として大きく入れ替わるのは、押している一時間ではなく、その前後に付いてくる時間のほうです。

自分の体重を他人の背中へ預ける、と書くと単純に見えます。それを一日に何度も繰り返したあと、手のひらに何が残っているのかは、実際に押してみた人の中からしか出てきません。

施術台に立つ時間が長い日は、どう休みを取りますか

強さを作っているのは腕ではなく、乗せる重さのほうです。ですから体格とは別のところで決まります。

ただし一日に何人受けられるかは、腰と手首の持ち方で変わります。人によってはっきり差が出る部分です。

施術中は、ずっと話していないといけませんか

話し続ける必要はありません。ただ、次に触る場所だけは毎回声で伝えます。うつ伏せで顔が見えないので、黙っていると相手には何も届きません。

静かに受けたい人もいます。どちらがよいかは、横になってもらう前に聞いておくと、途中で迷いません。

店で働いてから一人になるのと、最初から一人でやるのとでは違いますか

決まった順番はありません。ただ一人になると、力加減を確かめられる相手が同じ部屋からいなくなります。

その状態を先に経験しているかどうかで、最初の数か月の落ち着き方が変わってきます。

目次